書評:現場のプロが教えるWeb制作の最新常識

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珍しくWebの技術書を読んでみた

本題とあまり関係ないですが、飲み会やTwitterや勉強会や飲み会やダーツや仕事やバーベキューや飲み会を通じて、Web業界で仲良くさせていただいている友人もそこそこ増え、おかげさまで公私ともに楽しい毎日を送っております。なんか”私”の方が多そうですけど。

何人かの(とても優秀な)友人達の中には、HTMLやWordPress、Photoshopなどに関する専門書を出版しておられる方がいるのですが、友人だから無条件で買う、というわけでもなくスルーさせていただいていることもしばしばです(ごめんなさい)。

それらの技術はWeb制作をする上では(もちろん必要だけど)手段であって、それらにどっぷりとハマるのが少し怖かったんですよね。Webで売上を上げるなり集客を伸ばすなり、大きな目標を見据えていたかったというか。

しかしながら、最近のWeb制作の現場の変化のスピードは本当にすさまじい。最近流行の「フラットデザイン」「パララックス」などのデザイントレンドや、HTML5、CSSプリプロセッサーやGitを使った制作フロー、レスポンシブWebデザイン…。

スマートフォンやSNSが急速に普及した特にここ2〜3年が、近年ではもっとも変化の激しい時期なのではないでしょうか。

技術に凝り固まって本来の目的を見失うのはもちろんダメですが、かといって技術を軽視せず、次々と新しいノウハウを取り入れ常に最新の制作環境を整えることこそが、よりスピーディ&高品質なアウトプットに必要なのだと思います。

全部覚えるの、大変ですよね本当。

Web制作の「いまの常識」を体系的に理解できる1冊

そんな折りに発売されたのが、友達の酒井優さん、久保知己さんらが執筆した新著”現場のプロが教えるWeb制作の最新常識”です。前述の通りあまり「義理買い」をしない自分ですが、これはすぐに本屋さんで買ってきました。

本書はHTML5・CSS3・マルチデバイス時代におけるWebデザインの手法と技術のほか、Gitをはじめとした制作環境などが網羅的にまとめられています。一つ一つの項はそれほどのボリュームではないのでちょっとした空き時間に読みやすく、また、共著という形を取っているせいかそれぞれの分野でも内容が薄くならず、それらの手法が主流となった背景などもしっかりと説明されています。

もちろん、本書は一つの手法にフォーカスした専門書ではないのでそういった読み応えを求める人には物足りない向きもあるかもしれません。

しかし、最近Web制作の世界に足を踏み入れた方、最近情報収集をあまりしていない方、ディレクターや営業、ブロガーなどプロのWebデザイナー・フロントエンジニアではない方などが、「なんとなく知っている」からもう一段理解を深めるにはもってこいの良書となっていると思います。

“現場のプロが教えるWeb制作の最新常識”

簡単に、本書の内容をご紹介します。

1章「デザイン・レイアウト」

IMG_2221フラットデザイン、パララックス、メイソンリー、ロングシャドウなど、2014年現在のおおかまなデザイントレンドや配色の潮流について。具体的な実装のポイントなども解説されています。正直この辺りは流行り廃りがあるのでマストではないですが、なぜ今それが流行っているのか、背景を含めて理解しておけば応用もきかせやすくなりますね。

2章「マルチデバイス対応」

IMG_2222スマートフォン、タブレットを中心としたPC以外のデバイスについて。現在の各デバイスの画面サイズやブラウザの動向や、レスポンシブWebデザインをはじめとする具体的な対応手法が中心です。スマートフォン特有のコーディング(Viewportとか)はうろ覚えな部分も多いですが(自分だけ?)しっかりとポイントがまとめられているので助かりますね。

3章「HTML・CSS・JavaScript」

IMG_2223HTML5、CSS3、Webフォントなどの近年の最新技術仕様のほか、CSSフレームワーク(Bootstrapとか)、Sass/Compassなどの効率化関連、エディタをはじめとするツール関係などなど盛りだくさんとなっています。簡単なコードも書かれてはいますが、ボリュームは各節ごとに2〜3ページずつなので、興味をもった分野があればよりそれにフォーカスした書籍をあたった方がよいかもしれません。

4章「サイト構築・管理・運用」

IMG_2224Git、CMS(WordPress)、SEO、SNS、アクセス解析などサイトの運用管理に必携のツールについて。Webサービスなどに関わる場合はこの辺りの知識も必要ですね。

本書を読み終えて

本書で紹介されていた手法や技術はネットなどでよく取り上げられているので、きちんとアンテナを張って情報収集しているWeb制作者の方なら、ぶっちゃけほとんど見聞きしたことあると思います。

ただ、知っていること=使えるわけではありませんし、本書の一番のポイントは、一つ一つの手法、技術を体系づけて整理できる点にあると思います。

現在主流とされているデザイントレンドや開発手法も、決してそれぞれ別の要因で台頭してきたわけではありません。

  1. iPhone、Androidの発表、普及に伴い、それに最適化したWebページの作成の必要が出てきた
  2. 特にAndroidは機種により画面サイズが異なり、従来の画像を中心としたWebデザインの手法による対応がますます難しくなった
  3. そこでHTML5/CSS3による可変レイアウトに対応しやすいデザイン手法が増えてきた
  4. それでもスマートフォンからの閲覧はますます増え、PC版のレイアウトをスマートフォン用に組み替えるのではなく、当初からスマートフォンサイズの画面を前提としたモバイルファーストの考え方が出てきた
  5. 画像を極力使わずにデザインを行うため、見出しなどをリッチに見せられるWebフォントやアイコンフォントが多用されるようになった
  6. コードによってデザインを実現するため、CSS フレームワークやSass/Compass、Emmetなどより効率的にコードを書ける手法が人気を集めた………などなど

本書は一見、別々の手法の解説の集合のようですが、一冊を通してここ数年のトレンドの背景や相関関係が理解できるようになっています。

本書の内容が3年後にも有効かと言われると、今の変化のスピード感を考えると難しいかもしれません。

しかしただ漫然と技術を覚える(レスポンシブの実装方法を覚える、Sassの記述方法を覚えるetc)のではなく、「どういった背景があってそれが現在主流とされ、今後どういった変化が予想されるのか」を常に理解、考える姿勢を持つことが、より深くWebという世界を知ることとなり、ひいてはこの世界で変化についていける対応力を身につけることに繋がるのだと思います。

“現場のプロが教えるWeb制作の最新常識”は、Web制作の現場で生き残り続けるためのそんな「姿勢」を身につけるきっかけになる一冊なのかもしれません。

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